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「はい、おかわりどうぞ」
戻ってきたルディは、そう言って目の前のテーブルにカップを置く。
「ガウ」
頷いて、一口。
うん…。相変わらず、不味い。
この世の物とは思えない壮絶な味だ。殺意すら覚える。むせそうになったのを必死で我慢した。
そうか…思い出した。おかわりなんてとんでもないってことで出した苦肉の策が、あの約束だったのだ。いわば帰る為の口実。自分の罠に自分で飛び込んだ心境だ。ガッデム…!!
「美味しい?」
「ガ…ガウ!!」
慌てて返事をする。
そういや初めて会った時、正直に「ゲッロまずっ!!なんだこの異世界の飲み物は!!!」と答えたばっかりに二年ほど氷漬けにされたのも思い出した。
「フフ…良かった…」
そう言って正面のソファーにルディも腰掛け、自分の淹れたお茶を飲む。
おい、なんでそのイカれた劇物をそんな美味しそうに飲めるんだ?味覚がぶっ壊れてるとしか思えねぇ…。
「はぁ…。どうやら本当にアンタなんだ…。なんでそんな姿なの?何があったのよ?」
いきなり確信の質問をぶつけられる。
俺は羊皮紙を取り出し、答えを書いてルディに見せる。
「呪い…?それで口がきけないから喋れるようにして欲しいって?」
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