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「擬似声帯を形成する上で、とある薬草が必要なんだけど、今ちょうど無いの、でね」
「ガウ…」
取って来いってか…。
「あ、もうわかる?でもこれがまた面倒な所にあるのよねぇ~」
面倒な所?
「ルージュ岬…って言えばわかる?」
え…。
「ガァ~……」
マジかよ…。
「あはは…。そこの崖の側面にしか生えない薬草なの」
ルージュ岬。
名前の通り、王都ルージュ近くの岬だ。
だがここが結構ヤバい場所で、まず凶暴な魔物が多く生息していることが挙げられる。
トロルが可愛く見えるような連中がウジャウジャと…。
まあ、それだけならまだ対処できる。
問題は、そこの異常な気候だ。
魔力嵐と呼ばれる風が渦のように吹いていて、一切の魔法が使えなくなるのだ。
もちろん、そこに転移はできない。
確か王国危険区域ランクAとかに認定されていたはずだ。好き好んでいくような場所でもないけどな。
「そこに生えてる"火炎草"ってのを取ってきて欲しいの。頼める?」
断れねぇのを分かって言ってやがるな…。
そういうことなら予定を見直さねぇといけないか…。
俺は「ガァ」と言って頷くと、ルディは「さっすが」と言って一枚の絵を見せてきた。
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