9.魔女の家

8/10

11235人が本棚に入れています
本棚に追加
/2201ページ
「擬似声帯を形成する上で、とある薬草が必要なんだけど、今ちょうど無いの、でね」 「ガウ…」 取って来いってか…。 「あ、もうわかる?でもこれがまた面倒な所にあるのよねぇ~」 面倒な所? 「ルージュ岬…って言えばわかる?」 え…。 「ガァ~……」 マジかよ…。 「あはは…。そこの崖の側面にしか生えない薬草なの」 ルージュ岬。 名前の通り、王都ルージュ近くの岬だ。 だがここが結構ヤバい場所で、まず凶暴な魔物が多く生息していることが挙げられる。 トロルが可愛く見えるような連中がウジャウジャと…。 まあ、それだけならまだ対処できる。 問題は、そこの異常な気候だ。 魔力嵐と呼ばれる風が渦のように吹いていて、一切の魔法が使えなくなるのだ。 もちろん、そこに転移はできない。 確か王国危険区域ランクAとかに認定されていたはずだ。好き好んでいくような場所でもないけどな。 「そこに生えてる"火炎草"ってのを取ってきて欲しいの。頼める?」 断れねぇのを分かって言ってやがるな…。 そういうことなら予定を見直さねぇといけないか…。 俺は「ガァ」と言って頷くと、ルディは「さっすが」と言って一枚の絵を見せてきた。
/2201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11235人が本棚に入れています
本棚に追加