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「なに沢木くんと揉めてんの?」
女子トイレに入ると、また鏡の前に居た香穂が訊いてくる。
「いや、揉めてるわけじゃないんですけどね」
と言いながら、花音は鏡の下の棚に化粧ポーチを置いて、溜息をついた。
「ふーん。
喧嘩するほど仲がいいって言うもんね」
「なんですか、その冷たい目」
と言うと、
「いやあ、あんなこと言ってたけど、やっぱりってならないかな、と思って」
と言ってくる。
「ならないですよ。
拓海はないです」
「やけにキッパリ言うわね」
「はい。
奴は敵ですから」
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