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「……敵?」
「敵です」
と言いながら、鏡を見て、朝つけ忘れたグロスを塗る。
「相変わらず、なんだかわかんない女ね」
と言う香穂の側で、あっ、と声を上げると、
「どうしたの?」
と訊いてくる。
「そうだっ。
朝、課長に会ったのにっ。
グロス塗り忘れてたっ。
あれ塗らないと、この色、ちょっと老けて見えるのにー」
「いや、あんた、ほんと呑気ね……」
と言いながら、香穂は化粧品をしまっていた。
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