ハニートラップ

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「俺がイタリアに居たとき、コンサートホールの近くの石畳みを歩いていたら」  ひいっ、と花音は固まる。 「や、やめてください、怖い話っ」 「イタリアの幽霊が此処まで来ないだろう」 「幽霊なんて、瞬間移動するじゃないですかっ」  ごちゃごちゃ言っているうちに、花音たちのフロアに着いた。  スマホは無事に引き出しに入っていた。 「危ない危ない」 と呟きながら、鞄に入れ、昌磨の後について、再び、エレベーターに乗る。 「いっそ、階段で下りたいくらいですよ」 「じゃあ、お前、階段で下りろ」  下で待ってる、と言われてしまう。
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