ハニートラップ

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「いや、家には行かなかったの」  近くのホテルに泊まったのだ。 「課長の家に行ったときは、目隠しされてたし」 「目隠しした女を車に乗せて走ったのか、あの人は……」  すれ違った車に通報されるぞ、と言うので、 「いやいや。  タクシーだってば」 と言うと、 「余計まずいだろっ」 と言われた。 「課長、花音と波長が合うはずだな。  あの人も、相当おかしい……」  そう言いかけた拓海が、少し離れた場所を見て、言葉を止める。  そちらを振り返ると、こっちを見ていたらしい昌磨が居た。
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