ハニートラップ

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「僕、朝は混むからあまり乗らないけど、夜はたまに乗るんですよ。  いつか、電車に一緒に乗ってるのを見ましたよ。  『情熱の貴公子』ですね」 と微笑む。 「ご存知だったんですか」 「そりゃもう。  あの手を見ればわかりますよ」 と言われたので、 「……貴方の方が私より、昌磨さんへの愛が深いかもしれないです」 と言うと、はあ? と言われる。  たまに電車で感じる視線はこの人だったのかな、と思った。  ……手が見えないと気づかないし。  はは、と笑う。
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