ハニートラップ

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「花音」  エレベーターが開いた瞬間、しゃがみ込んでいる花音を見て、昌磨が呆れたように名を呼んだ。 「失敗でした。  上がったり下がったりして、大変だったです」 と言うと、昌磨は笑う。 「そうだろう?  エレベーターで待ち合わせとか不思議なことを言う奴だと思ったんだ」 「だって、昨日、二人で此処から見た夜景が綺麗だったから」  でも、まだ、結構、人が居ますね?」 「八時だからな」  少しの間のあと、 「うちに来るか」 と昌磨は言った。 「目隠ししなくていいんですか?」 「……いい」
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