ハニートラップ

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「……なんかすごいイケメンでした。  こう、繊細そうな美貌というか。  白いトレンチコートを着ていたせいかもしれませんが、白いグランドピアノが似合いそうでした」 「じゃあ、そっちへ行け」 と言いながら、昌磨はエレベーターから降りる。  花音は振り返りもしない昌磨について行きながら言った。 「でもなんか、ときめかなかったんです。  好みのタイプだと思ったんですが」 「恋愛できない奴に、好みのタイプとかあるのか」  鍵を開けながら、そう言い放つ昌磨に、 「もうっ。  いちいち棘がありますねっ」 と言いながら、部屋について入った。 「ええ、素敵な顔に、美しい手でしたよ」  そう言い捨てると、昌磨が振り返る。
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