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「初めて見たときは、あの手を見て、ときめきました。
でも、それって、たぶん、その手から、子供の頃の貴方の演奏を連想したからですよ。
私はあの人より前に、『情熱の貴公子』の手に恋してたんです。
だから、あの人の手を見て、ときめいた。
顔も正直言って、すっごい好みだったんですけど、全然ときめかなかった。
昌磨さんの方が千倍格好いいからですっ」
花音は昌磨の手を取り言った。
「私は、助けてくれたあの人の手じゃなくて、昌磨さんの手が好きです」
そっとその手を自分の頬に当ててみる。
目を閉じると、昌磨の体温がより伝わってきた。
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