ハニートラップ

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「課長」 「昌磨」 「……昌磨さん」 「ところで、なんで、さっきからずっと玄関なんだ」 「かち……昌磨さんが上がらないからですよっ」 と言うと、いきなり抱き上げられる。 「うわっ、もうちょっと!」  カーテンが開いたままの昌磨の部屋からも夜景が綺麗に見えた。  それを見ながら花音は言った。 「あのエレベーターでなら大丈夫かなってちょっと思ったんです、あのとき」  え? と昌磨が見る。 「あのエレベーターに乗ると、元より不安で前後不覚になってますしね。  思ったより、夜景も綺麗だったし。  出来るかな、と思ったんですけど」 「なにを」 と言われて赤くなる。
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