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『…分かった!あたしもリヒトにはお世話になったし、任せといて!』
確かにお世話は相当したが自覚あったのか…って!
ちょっと待て!?
「オイ!俺別に何も言ってねえし!それに今までモテた事もない俺なんか、笹野さんが相手にする訳ないだろ!」
『リヒト、モテた事あるじゃん』
……は?
「いつ?どこで?」
『中学高校の時とか、あたし何回か女の子にリヒトの事聞かれたよ?彼女いるのーとか、好きな女の子いるのーとか』
「……初耳なんだけど」
『リヒトに聞いたら、ひなの事でいっぱいいっぱいで恋愛してる暇なんてないって怒ってたね』
「……それをそのまま伝えたのかよ?」
そういえばその頃は、リョウ兄の言いつけでひなの護衛&毎日の報告は欠かせなかったし、休みの日は護身術の稽古付けられたりで……。
……今思えば俺の青春ってやっぱ虚しい……。
『あたしも悪いなって思ってるんだよ?だから、あたしはリヒトの恋応援するからね!』
……もうこうなったら何を言っても止められないな。
ひなの気合の入りように不安を覚えつつも、また笹野さんとバイトの日がやって来る。
……くそー、ひなのせいで余計に意識してしまうじゃねーか。
前よりも打ち解けてくれたのか、映画の話を嬉しそうにしている。
たまに目が合うとまだ恥ずかしそうに逸らされるけど…。
そんな仕草さえ愛しく思う……やっぱり、これって好きってことだよな……。
……でも、その細い髪や白くて柔らかそうな手や、
いつも少しピンクに染まっている頬に……触れてみたいと思う自分がいる。
一応初恋なのに、こんなに邪念だらけでいいのか!?
どんどん欲が出て来て自分が怖い…!!
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