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「いらっしゃいませー」
その時店の扉が開いて、入ってきたのは……
「お疲れー!リヒト、ゆいちゃん!」
やたらと上機嫌なひなだった。
「……ゆいちゃん?」
「うん♪この間電話で話しててね、ゆいちゃんって呼ぶことにしたの!1歳しか違わないし、敬語もナシにしてって。ゆいちゃん、リヒトの事も呼び捨てでいいよ!」
「そ…それはちょっと…」
「でもリヒトくん、って呼びにくいし……あ、そういえば昔はリーくんって呼ばれてたよね!」
「ひな!余計な事言うなよ!!笹野さんも困ってるだろ!?」
「リヒトも、笹野さんじゃなくて、ゆいちゃん!いいよね?」
ひなが笹野さんに同意を求めると、顔を赤らめながら頷く……マジか……。
「はい!呼んで!!」
「…………ゆいちゃん……」
「じゃあ、ゆいちゃんはリーくんね♪」
「それはやめ……」
「……リーくん……」
……真っ赤な顔で、上目遣いで消え入りそうな声で言われたら……
それはもう……心臓をでっかい槍で一突きにされたようなもんで。
…っていうかひなの水を得た魚のようなこの勢い……先が怖い。
「ってかひな、その荷物…」
「あ、ここで待ち合わせしてるの」
「お泊まりか……ラブラブだな」
上機嫌なのはそのせいもあるんだな。
程なくして青木さんが迎えに来た。
早く連れてってくれ!!
「ゆいちゃん、今度一緒に遊びに行こー♪ゆうくんも行ける?」
「…うん、行ける日もあると思う」
「じゃあ4人で!また連絡するねー♪」
……こうして嵐のように去って行った……。
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