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えぇっ!?
ゆいちゃんが俺の手をしっかり握ってる。
「……ひなちゃんが、こうした方が変な男の人寄ってこないからって……」
「…で、でも……俺なんかじゃゆいちゃんには釣り合わないし彼氏にも見えない……」
「そんな事ない!!前にもお店で私のこと助けてくれたし……リーくんは優しくて強くって、かっこいいよ……」
真っ赤な顔で俯きながら……そんな嬉しい事を言ってくれるから、
俺もちょっとぐらい調子に乗ってもいいかと思ってしまう。
「…じゃあ今日は俺が彼氏ってことで、いい?」
ゆいちゃんは大きな目を更に見開いて、それから思い切ったように頷いてくれた。
手を繋いだままで、ゆいちゃんの希望で海の方に向かう。
海岸で遊んだり座っている人がチラホラいる中、貝殻を探したり写真を撮ったりした。
「すっげー綺麗に撮れてる!才能あるんじゃね!?」
「…ありがとう」
「もう少し待ったら、ここ夕日が綺麗なんだって。せっかくだから見てく?」
「うん!嬉しい…」
隣に座って、水平線に吸い込まれていく夕日を眺める。
本当の彼氏になったかのように勘違いしてしまいそうだ。
心の中で自分に言い聞かせながら細くて柔らかい手に自分の手をそっと重ねた。
……今日だけだから、と。
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