見習い彼女

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しかしある日、そんな俺にも運命の出会いが訪れる……。 青木さんがバイトを辞めるということで、新しいバイトが入ることになった。 その初出勤日のシフトが俺と青木さん。 俺にとっては初めての後輩になる訳だけど。 教育うんぬんは先輩の青木さんに任せとけばいいか、と軽く考えていた。 ……その子を一目見るまでは。 「この子が今日から入る笹野ゆいらちゃんだ。高校3年生。2人とも、ちゃんと教えてやってくれよ」 オーナーが紹介した、その女の子は…… 白い肌に、細くてサラサラな長い髪。 大きな瞳に自然に長い睫毛。 小さくて細いその手脚は、まるで人形のようで…… ……俺は生まれて初めて、一目惚れというものを経験した。 「……で、ここにレジ袋があるから」 「…………」 青木さんが教えている様子を、少し離れて見つめていた。 ……マジで天使だ。 可愛いなんてもんじゃない……。 青木さんの少し後ろで、縮こまりながら目を伏せている。 ほとんど言葉を発せずに硬直しているように見えるのが、少し気にかかるけど……。 それにしたってこんな可愛い子がいるなんて…なんか今まで誰のことも好きにならなかったのも当然って気さえする。 ……って……結局アイさんの言う通りで、俺って理想が高かったのか!? 「……今日なんか物凄く疲れた。なんでオーナーあの子採用したんだろう……」 バイト終了後、青木さんが珍しくうなだれている。 「まぁまぁ、まだ初日だし慣れてないし…」 「慣れてないとかいう問題じゃないだろ。ほとんど一方的に俺が喋ってるだけだったし…」 俺は俺で笹野さんに見惚れていて、あんまり仕事になってなかった。 青木さんを疲れさせたのは俺のせいもあるのか…! 「すみません、青木さん…」 「いや…次からあの子染井くんに任せるな」 「え!?青木さんに無理なら俺には無理でしょ!?」 ……でも意外にも、その青木さんの宣言は現実になった。
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