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「いつ帰ってきたの!?」
ひなが駆け寄って、その人……リョウ兄が抱き締める。
「さっき着いたとこだ。土日は実家にいるからな」
「わーい!久しぶりだー!」
……相変わらずひなの前では態度違うよな……。
「染井くん、あの人…」
「あっ青木さん!ひなの兄貴で……見ての通り溺愛なんすよ…。とりあえず付き合ってることは言わないで下さい!!」
「おい、リヒト!何コソコソしてんだ?」
「なっなんでもないって!!」
「あっそうだ!お兄ちゃん!あたしの……」
「あーーーー!!!」
俺の大声に驚くひなとリョウ兄。
「どうしたの?リヒト…」
「ひなに用事があって来たんだよ!ちょっと来い!」
慌ててひなを店の外に引っ張る。
青木さん…すみません!
しばらく耐えて下さい…!!
「お前リョウ兄には青木さんと付き合ってること内緒にしろ!」
「え?なんで?」
「なんでって兄バカ……じゃなくて心配性だろ!?青木さんが大変なことになるぞ!!」
「そ、そうかな…?」
ひなは知らない……。
高校の時にひなに告ろうとしたヤツがリョウ兄に尋問に遭って、叩きのめされたことを……。
「とにかく!明後日には寮帰るんだろ!?それまで黙っとけよ!」
納得してない顔のひなを置いて、リョウ兄を連れて帰ろうと店内に戻ると……
「俺と同い年なのか!?なんで就職してないんだ!?留年か!?フリーターか!?」
「いえ、院生です」
もう尋問始まってる!?
もしかしてレーダー働いたのか!?
「リョウ兄!バイトの邪魔しちゃ悪いし先帰ろうぜ!ラグビーの話聞かせてくれよ!」
「いや、今日はひなを待って一緒に帰るつもりだ。帰り道暗いから危ないだろう?」
「それならだいじょ……」
言いかけたひなに目で訴える。
ひな!!言うなよ!!
青木さんが送ってるなんて言ったら絶対にツッコまれる!!
テレパシーが通じたらしく、ひなは不満顔で…。
「…わかった。あと30分ぐらいあるけど、いい?」
「おう」
「リョウ兄!外で待とう!!」
半ば無理矢理…外に連れ出した。
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