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リョウ兄が乗り込んだ翌日の土曜日、俺達はひなの家に呼び出されたのだった…。
「な…なんでこのメンバーで…?」
「いや、ひながいつもバイトでお世話になってるって言うからもっと知りたいと思ってな!」
「……ごめんね、ゆうく……青木さん」
ひなの言葉をリョウ兄は聞き逃さなかった。
「今なんて呼んだ?」
「青木さん…」
「嘘だ。名前で呼んだだろう?どういう関係だ!?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「お前が変な男に引っ掛かったらどうする!?悪いヤツに騙されてないか俺がしっかり見極めるんだ!」
「何それ!?ゆうくんは悪いヤツじゃないもん!!」
早くも暗雲が立ち込める…。
止めることも出来ず困っていると、青木さんが立ち上がった。
「やっぱり付き合っているのか!?」
「お兄ちゃんには関係ないもん!なんでそんなこと言うの!?お兄ちゃんなんかーー」
「ひなき、落ち着け」
昔から知っている。
わーわー言い出すと止まらないひなきが、一瞬で落ち着いた。
「……今、ひなきと呼んだな……!」
再び叫び出そうとしたリョウ兄まで、口をつぐんだ。
青木さんが、頭を下げたから……。
「改めて、ひなきさんとお付き合いさせていただいてます。昨日は黙っていてすみません」
「……やっぱりそうか。だが今まで黙っていて、あわよくば俺が帰るまで隠し通そうとしてたんだろう。信用出来ん!」
「リョウ兄!それは俺がーー!」
言いかけた俺を、青木さんが手で制した。
「それは言い訳しません。でも、ひなきさんとは本気で付き合っています。それだけは信じて下さい」
「ふん!もういい!やっぱり帰ってくれ!」
「お兄ちゃん!自分で呼んだのにそんな言い方最低!!お兄ちゃんなんかもう大っ嫌い!!」
ガーーーーン
という音が聞こえた気がした。
ひなに男が出来たのも初めてだし、今までリョウ兄がひなの前でこんな態度を取ったこともなかった。
お兄ちゃん子だったひなに嫌いと言われたら、リョウ兄は……。
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