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「リョウ兄……」
部屋のドアをノックして開けると……窓から外を見ながら黄昏ていた。
「リョウ兄ごめん……でも、俺青木さんならひなのこと大事にしてくれるって思ったから……」
「分かってるよ。二人を見たら、あの男が悪いヤツじゃないってのは分かる。それにひなも幸せそうだ…」
……あれは高2の時。
同じクラスのヤツがひなに告ると宣言していた。
ひなも噂を聞いて、けっこう嬉しそうだったんだ。
でも俺は、そいつが裏で言ってるのを聞いてしまった。
『元カノ?まだ別れてないけど、そのうち切れるだろ』
『それで澤に告ってフタマタ?』
『澤はとりあえず可愛いし?一回ヤってみてそれからだな』
……それでリョウ兄に相談したら、殴り込みに行った。
おかげでひなには何もなかったのだが……。
『これからもひなのことを頼むぞ!悪い虫が近付いてきたらすぐに報告しろ!』
……そしてまだ、続きがある。
その男が俺に逆恨みして、仕返しに来た。
3人がかりで殴りかかられて歯が立たなかった…。
『おい!お前ら何やってんだ!?』
助けてくれたのはリョウ兄だった。
『リヒトは俺の大事な弟同然なんだよ!次手出したらどうなるか分かってるな!?』
……いつもそう。
リョウ兄は優しくて強くて、俺達のヒーローみたいな存在だったんだ。
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