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その日の夕方はバイトで、ゆいちゃんとレジに入っていたら……。
「よう、リヒト」
「リョウ兄!」
俺はゆいちゃんにもリョウ兄のことを紹介した。
「顔は怖いけどすっげーイイ兄ちゃんだから」
「顔は怖いは余計だ」
「それより……リョウ兄、青木さんのこと……」
「分かってる。あの後も話したが、イイ奴じゃないか」
ニカッと笑ったリョウ兄の顔を見て、ほっと胸をなでおろす。
……やっぱり、青木さんが正直にちゃんと話したから良かったんだな……。
「俺ももう御役御免って感じ?」
「ん?何がだ?」
「何がって……ひなのお守り役!」
「……あぁ。そうだな。リヒトもひなばっかりじゃなく自分のことを優先しろ!」
バンッ!
と背中を叩かれて……
……多分リョウ兄は力入れたつもりないだろうけど、めっちゃ痛ぇ……!
「…って!ずっとリョウ兄の命令でやってたんだけど!?それにリョウ兄こそひな離れして、そろそろ自分の恋愛考えたら?」
「ん?俺なら彼女がいるぞ」
「え!?いつから!?」
「もう1年ぐらいか」
ガーン……。
今までどう見ても「ひな、ひな」ばっかりだったリョウ兄に!?
彼女!!??
俺は今まで完全に自分のことなんか後回しにしてたと言うのに……
結局独り者は俺だけ!?
……り、理不尽だ……。
完全に打ちのめされてしばらく打ちひしがれる。
ふと顔を上げると……
リョウ兄がゆいちゃんに何か耳打ちしてる!?
「な、何!?今何言った!?」
「えっ…ううん…!」
…と言いながら…顔を真っ赤にして首を振るゆいちゃん。
何!?
一体何を言ったらそんな顔に!?
「絶対変なこと言っただろ!?」
「リヒトは鈍いけどよろしく頼む、と言っただけだ」
「それだけでゆいちゃんが赤くなるはずないだろ!」
「ほら、鈍い」
あーくそー!
リョウ兄彼女いるからって余裕でムカつく!
俺には一体いつになったら、そんな日が来るんだー!?
・:*+.end.:+
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