見習い彼女

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同時に立ち上がったら思いのほか顔が近付いて、 それに驚いた笹野さんが物凄い勢いで後ずさろうとしてフラついて、 咄嗟に支えようとしたのに一緒にコケてしまって…… ……って、めちゃくちゃ近い!! なんかイイ匂いもする……。 思わず惚けていると、下から震える声が聞こえてくる。 「……あ、あの……すみません……」 「あっ!ご、ごめん…!!」 あのままでいたら正気を失ってたかもしれない……。 笹野さん人が苦手なのに、怖がらせてどうすんだよ!? もし一緒に映画観るのも嫌とか言われたら……。 「……マジでごめん……怖がらせたら……」 「……大丈夫です……染井さんだから……」 ……ん? それってアレか……笹野さんにも「無害なイイ人」認定されてるってことか……。 地味にショックを受けつつも……ひとまずは嫌われてもないと分かって少しだけ安心した。 「それにしてもひな、遅いよな…」 そう言った瞬間、LINEの通知。 『ごめん!急用が出来ました!本っ当にごめん!』 な…なんだとー!!?? それを伝えた笹野さんの反応は意外に普通で、そのまま二人でDVDを観ることに……。 それもそうか……意識されてないもんな……。 最初は二人っきりの空間(しかもベッドもある)という事に緊張を隠せなかった俺も、次第に映画の世界観に引き込まれていった……。
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