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見習い彼女
幼馴染のひなの紹介でコンビニバイトを始めて数ヶ月。
「あー俺も彼女欲しいー」
……なんて、言霊って言うし口に出してたら叶わねーかな。
「染井くん彼女いないのー?意外ー」
一緒にバイト中のアイさんが楽し気に言った。
「聞いてくれますか!?俺は小学校の時からずっと、ひなの兄ちゃんの言いつけでひなに悪い虫がつかないように見張らされてたんすよ!!いつの間にか俺のポジションは、『ひなの召使い』もしくは『無害ないい人』ですよ!女子から恋愛対象に見られることなんてある訳ないっす!!」
「えっひなちゃんお兄さんいるの!?イケメン!?」
アイさんは予想外なところに目をキラキラさせて食い付いた…けど……
「……怖いっす……」
「え?」
「とっとにかくおススメは出来ないっすよ!」
思い出すだけでも体が震える…。
そんな俺を見て若干引きながらも、いつも周りに聞かれるお決まりの質問。
「え…そんなに?……まぁそれはいいけど。染井くんから誰かを好きになることなかったの?それこそ一番近くにいるひなちゃんは?」
「それは死んでもないっす!!」
大体みんな一度は絶対聞いてくるけど…。
ひなのこと好きになるとか、リョウ兄…ひなの兄ちゃんが怖くて考えたこともない。
……でもそう言われると、他に気になる子が出来たこともないな。
「それって実は理想が高いんじゃないのー?」
「そんなつもりは……」
アイさんはニヤッと笑うと、俺の肩に腕を回してくる。
「今恋してないならさ、あたしが教えてあげよっか?いろんなコ・ト……」
至近距離にあるアイさんの顔。
ギャルだけど美人だし、それこそ大人の色気っていうか魅力はある……。
「……さすがに、初めてはもっと純粋な恋愛がしたいっす……」
「冗談よー!でもちょっとはドキドキしてよー?」
……いや!内心かなりドキドキはしてますって!!
だって今胸当たってたし!!
イイ匂いもしたし……。
今まで恋愛とは縁遠いところにいた俺には刺激が強すぎる。
なんていうかいつも報われない役回りというか…、
最近で言ったら彼氏でもないのにひなの送り迎え……まぁこれはストーカーされてたからしょうがないとはいえ……。
青木さんとの恋を応援したらなんでか板挟みになるし……。
多分、俺ってアレだ。
貧乏くじを引くタイプってヤツなんだと思う。
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