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巨人の予感…
このとき深夜の街角から今一人の少女があげる鋭い悲鳴が伝わってきて、小心者の私は肝を潰された。
「A子!来たよ!あいつだ!魔王が来たよ!」
「Bいっ!大変、アスラーが…。私行かなくっちゃ。田中さん、御免なさい、私…」
B子という友が心配なのか、挨拶もそこそこにA子は表へと飛び出して行く素振りを見せる。しかし一瞬不安げにクリスタルの大きな窓に目を遣った。
つられて私も窓を見る。と、そこにいきなり巨人の影が現れ、身を屈めて部屋の中を覗き込む様子。
地上十階建てのビルに等しい身の丈を持つもの、いったい何者なのか?B子が魔王と呼びA子がアスラーと呼んだそれは…。一瞬ビルが激しく揺れて、腹に響く野太い声が振動のように伝わってきた。
【巨人の予感…】
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