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残花
彼女の世界は美しかった。三百六十度、彼女の周りには花が満ちていた。蒼、紫、紺、ピンク・・。色彩が尽きることはない。しかし、その花園には違和感がある。そこには季節感という物は存在しないのか、どんな時期にもアサガオしか咲いてはいない。ただただ咲いて、本来ではあり得ないほど長く咲いて。しかしいつかは散る。そんな夢のような彼女だけの花園が、彼女にとっては恨めしかった。憎かった。
アサガオはたった独りの主のために今日も咲き続ける。アサガオの花言葉は儚い恋。これは叶わぬ恋の話。
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