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1 鈍感すぎる彼女 ★
物心ついた瞬間から、俺は幼馴染の女の子に恋焦がれていた。
ドジで、わがままで、おまけに天然。放っておけなくて、目が離せなくて。
ずっと、一番近くに居た。
ーーーいや、居たつもりだった。
彼女に初めて彼氏が出来たのは、忘れもしない高校1年生の夏。終業式の日にクラスの男子に告白されたらしく、すんなり、アッサリ。
「ねえ、大和っ!私、彼氏出来ちゃった!」
そう言われた時の衝撃は、昨日のことみたいに覚えている。あの時の俺は、どこかで自惚れていたから。
陽奈も、きっと俺のことが好きなんじゃないか、って。
どうしても気持ちの整理が付かなくて、何となく適当に彼女を作って。でも続かなくてキスもしないまま別れて、また彼女を作って。
その1年後、そうこうしてるうちに、男子寮でシャツのボタンを掛け違えた彼女を見つけた時は、本当に死にたい気分になった。
「超、痛かった!」とか言いながらも幸せそうに微笑うから、祝ってやるしか出来なくて。
その時、心に決めた。
この恋は、一生叶わない。だから、見守るに徹しよう。彼女が幸せならそれで良い、って。
そこからは人並みには遊ばせてもらった。だって、毎日毎日、高いテンションで俺のところにやって来て、「先週はね、」「昨日はね、」「来週はね、」って惚気話を聞かされるもんだから。
女遊びくらいしていないと、おかしくなりそうだった。
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