1 鈍感すぎる彼女 ★

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そして、今日。ゴールデンウィーク。 新年になってから一度も帰ってなかったから、陽奈と2人、地元に帰って来た。 ちなみに、交際、そして結婚の報告の日でもある。 俺の実家の玄関の前。2人で整列した。 「…なんか、緊張するな、」 「そうだね…」 もちろん、両親に前フリは一切していない。 ゴールデンウィークに帰るから、ってそれだけ。 「陽奈のお父さんとお母さんは?」 「もう大和の家に居るって、」 「じゃあ既に全員集合か…、」 はあ、と大きく息を吐いた。 溜め息では無い。気合を入れる為の、大きな呼吸だ。 意を決して、引き戸に手を掛けた。 「…ただいま、」 俺が中に向かって声を掛けると、ドタドタと足音がして。出てきたのは陽奈のお母さんだった。 「大和くん、お帰りなさい!疲れたでしょう、上がって!」 ここ、誰の家だったっけ?と一瞬思ってしまった。横で陽奈が「私は?」と呟いている。 相変わらず、陽奈のお母さんは天然が入っている。 居間に上がると、テーブルの周りを両親と陽奈の両親が囲んでいて。出前で取ったであろうオードブルが、所狭しと並んでいた。 「わ、美味しそう!」 子どもみたいにぴょんと飛び跳ねて、陽奈がそこに座った。俺もその隣に失礼して。 「じゃ、2人とも帰って来たし、戴きましょうか、」 と皆が箸を持ったけど、 「ちょっと待って、」 と制止した。 「食べる前に、話したいことがあるんだけど」
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