1 鈍感すぎる彼女 ★

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「じゃあそろそろ帰ろうかしら、」 夜21時ごろ、陽奈のお母さんが呟いた。 「そうだね、」 そう言って陽奈が立ち上がると、陽奈のお母さんがピシャリと言い放った。 「何言ってんの?アンタは大和くん家に泊まるんでしょ?」 「…はい?」 陽奈の、その本気のキョトン顔。 吹き出して笑いそうになってしまった。 「そりゃそうでしょ、結婚するんだから。もうウチはアンタの家じゃないから。ね、一ノ瀬さん?」 すると母さんも、満更でも無さそうな顔で頷いた。 「孫の顔が早く見たいわあ、」 「やっぱり男の子が良いわよね、男の子」 「え、そりゃー女の子が良いでしょ!」 「それは一ノ瀬さん家が男の子だったからよ!」 2人揃って、そんな話で盛り上がっていて。俺達のツッコミは全く響かず。 結局、陽奈は俺の家に泊まることになった。 それぞれ風呂から上がって就寝準備を済ませて、今はもう何も荷物のない元俺の部屋に入ると、ピッタリとくっ付けた状態で布団が2枚敷いてあって。 これには思わず、顔を見合わせて笑ってしまった。
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