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「?」
首を傾げる。菫は満面の笑顔だった。
「一ノ瀬 大和が昇進したよ」
「え、そうなの?」
「うん、部長代理だって。1月から」
「そ、そうなんだ。おめでたいね」
そう言いながらも、私の頭の中は藤堂部長でいっぱいだった。
大和が昇進したと言うことは、藤堂部長はどうなったんだろう?部長の次だから、統括?
訊きたかったけど、やめた。
「おめでたいね、って他人事みたいに…」
菫が、溜め息を吐く。
「史上最年少で部長代理だよ?幼馴染ならもっと喜んでやりなよ」
頭を軽く小突かれた。
「そうだね、おめでとうって言っとくよ」
すると菫は、満足そうに自分の席に戻った。
大和から何か言われたら、「おめでとう!」って元気に言ってあげようと思ってたのに。
結局、昇進の報告は無かった。
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