3 昇格査定

8/8
7640人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
「?」 首を傾げる。菫は満面の笑顔だった。 「一ノ瀬 大和が昇進したよ」 「え、そうなの?」 「うん、部長代理だって。1月から」 「そ、そうなんだ。おめでたいね」 そう言いながらも、私の頭の中は藤堂部長でいっぱいだった。 大和が昇進したと言うことは、藤堂部長はどうなったんだろう?部長の次だから、統括? 訊きたかったけど、やめた。 「おめでたいね、って他人事みたいに…」 菫が、溜め息を吐く。 「史上最年少で部長代理だよ?幼馴染ならもっと喜んでやりなよ」 頭を軽く小突かれた。 「そうだね、おめでとうって言っとくよ」 すると菫は、満足そうに自分の席に戻った。 大和から何か言われたら、「おめでとう!」って元気に言ってあげようと思ってたのに。 結局、昇進の報告は無かった。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!