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3 昇格査定
次の日。
15時までの仕事がなかなか終わらなくて、お昼を飛ばしたので、私の昼休みは14時半からになっていた。
部長に挨拶して、事務所を出る。
と、そこで大和に出会った。
「こんな時間に何処行くんだよ、飯?」
いつもと変わらない、大和。私は少し気まずいのに。
「うん、15時までのデザイン、さっきまでしてたから」
「マジ?陽奈の上司には絶対なりたくねえな、」
「な、それっ、どういう意味よっ!」
ハハハ、と声を立てて笑う大和。
「大和は何しに来たの?」
「営業部長と打ち合わせ。じゃあな、」
颯爽と、事務所に入っていった。
昨日のこと、何も触れて来ない。
いつもの大和だったら、「お前、アイツのこと好きだったのかよ?」ってツッコんで来て、片想いなら「任せとけ、俺が協力してやるよ」って言ってくれるし、付き合ってたら「何か困ったら相談しろよ」って微笑うのに。
なんだか、ちょっと変。不自然だ。
そのことに関してだけは、大和との間に今までにない壁を感じた。
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