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4 もう恋は始まっていた
クリスマスイブ。
会社のロビーで大和を見つけた。
なんだか、久しぶり。
私たちはいつもコミュニティが同じだったので、わざわざ先の予定を決めて会う事は殆ど無い。たまたま顔を合わせた時に「明日空いてる?」みたいな、簡単な約束しかした事が無かったのだ。
ここのところ顔を合わせていなかったのと、藤堂部長と鉢合わせしたのが気まずかった事もあって、大和の家にも暫く行っていない。
あと、昇進したことを私に報告をくれなかった事に、少し違和感も感じていた。
「お、おはよう」
たかが大和に挨拶するだけなのに、何故か声が震えた。
「なにどもってんだよ、」
そう言って微笑う大和が、いつも通りで安心して。兄貴分に、急に甘えたくなった。
「ね、今晩飲みに行っていい?」
すると、は?みたいな顔をされた。
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