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 その日のうちに山上が会社に戻ることはなかった。そして堀田に殴られてから三日間,山上の無断欠勤が続いたため,本社に報告した後,地元の警察署へ出勤しない社員がいることを伝えた。  すぐに警察官が堀田の案内で,山上の住む社員寮へと向かった。山上の無断欠勤は,温泉旅館での事件と関連があるのではないかと警察も社員も騒ぎ始めていた。  警察官と堀田が社員寮に着くと,管理会社の社員が合鍵を持って待っていた。 「お疲れ様です……堀田さん。お電話のあった部屋の鍵ですが,その部屋はここ二~三日留守のようですよ……」 「え……? それはどうゆうこと?」  管理会社の社員は,郵便受けを指差し三日前の新聞やチラシが刺さったままの状態だと言った。  郵便受けを確認してから,警察の指示で管理会社の社員が山上の部屋のドアを開けた。部屋は思った以上に片付いていて,人の気配はまったくなかった。 「ありゃ~,管理会社の人が言ってたとおりだね……。堀田さん,どうする? 念のため,部屋の中も確認しとく?」  年配の警察官が面倒臭そうに堀田を見た。 「そうですね……。一応,グルッと見ておきましょう……。風呂場で倒れてるってことも考えられますから……」 「そうね……。じゃあ,見とこうか……」  警察官は大きな声で,山上の名前を呼びながら部屋に入っていったが,結局なにもなく山上がどこにいるのかわからないままだった。
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