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 部屋で一人にされた三浦は,得体の知れない不安に押しつぶされそうになっていた。もし堀田との関係が世間にバレてしまったら自分はこの土地から出て行かなくてはならないし,両親から勘当されることも覚悟しなくてはならなかった。  会社を移ってからというものすべてが空回りして上手くいかず,実家の事業の手伝いをしているが,それもいつまで続けられるか不安だった。  部屋の中をウロウロと歩きまわっていると,廊下で楽しそうな子供たちの笑い声が聞こえてきた。  その笑い声が自分の失態を笑っているように聞こえ,ゲイであることを馬鹿にされているように思えた。  普段だったら他人と関わることを面倒だと思っていたが,笑い声が近づいてくると文句のひとつも言ってやろうと部屋のドアを勢いよく開けた。  その瞬間,母親と子供たちが軽く悲鳴をあげて飛び退いた。母親の顔を見た瞬間,かつて同じ会社にいた結衣だと気づき,さらにパニックになった。そして結衣と眼が合った瞬間,旦那の謙一と一緒に自分をゲイだと馬鹿にしているように思えた。  三浦は結衣の表情が自分を馬鹿にして避けていると感じ,激高して結衣の顔を力いっぱい殴り飛ばした。人を殴ったことで三浦自身,なにも考えられなくなりパニックのまま目の前にいた子供たちを力任せに蹴り上げた。  心臓が破裂しそうなほど高まり三人を部屋に引きずり込むと,激しく勃起しているのに気が付いた。先のことなど考えられず,その場で双子の両手を帯で縛り上げた。小さく唸り声をあげている母親も縛り上げようとした瞬間,浴衣がはだけ下腹部が(あら)わになった。
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