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 堀田は話しかけてもまったく反応しない三浦に対し,会社で起こったことやテレビで観た面白い話をした。  そして最近,本社から六カ月間と期間限定で来ている社員がいることを話し,その社員が社内で結衣のことを聞いて回っていることを話した。  堀田は自分がしたことを嬉しそうに三浦に話し,三浦は虚ろな眼で堀田のよく動く口を黙って見ていた。 「あの本社から来てる若造……鮎料理を喰わせてやったら,尻尾を振って喜んでいたよ。常務,常務って媚を売って来てなぁ……」 「それから結衣のことを話したんだけど,面白がってたな。あいつも結衣のことを文句婆って呼んでたけど,まったくいつになったら結衣の存在がこの町から消えるんだろうな……」 「お前がしでかしたことで未だに気を付けなくちゃいけないのは面倒だが,ちょっとした緊張感があって,これはこれでよかった。随分と楽しませてもらっているからな」  堀田は煙草を咥えて,何を話しても反応のない三浦を眺めていた。 「そろそろお前を飼うのも飽きたな……。あの本社の若造を俺のものにしたいんだがなぁ……」  三浦は涎を垂らしながら,ぼんやりと煙草の煙を眼で追っていた。 「さて……俺はしばらくここには来ない。お前が生きてようが,死んでようが,そんなのどうでもいい。俺が戻って来た時にお前が生きてたら,まだお前の死ぬときじゃないってことだ。その時は生かしておいてやる」  三浦は堀田がなにを言っているのか理解できず,黙って煙を見ていた。 「お前の汚ねぇケツも,臭せぇ口ももう飽きた。お前がガキの頃は可愛気があってよかったんだけどな。お前の精液をトマトジュースに入れてよく飲んだもんだ。だがなぁ……お前は調子に乗りすぎた……」  そう言うと堀田は,三浦がチェーンでつながれている部屋に大量のサツマイモを放り込んで小屋を後にした。 「どうやったら,あの本社の若造を俺のものにできるかだな……。あいつに結衣を抱かせるのも面白そうだな……」
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