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慌てて車を高速道路の本線に戻すと,何度もブレーキを踏んだがブレーキは反応せずスカスカとブレーキペダルの軽さだけが足に伝わってきた。
「クソッ! なんなんだ,故障か?」
すでに時速160kmを超えていて,徐々にスピードが上がっていった。
「どうなってんだ……」
誰もいない高速道路の上で猛スピードで走る堀田の車に,助手席に謙一が座り,後部座席に一真と翔真が黙って座っていた。
必死に車をコントロールしようとしている堀田がルームミラーを見た瞬間,後部座席に無表情で座る一真と翔真と眼が合った。
「うわあぁぁぁぁぁぁあ!」
慌ててハンドルを切ろうとした瞬間,助手席の謙一がハンドルを戻し車はさらに加速していった。
「うわあぁぁぁぁぁぁあ!」
車が橋にさしかかると同時にハンドルが一気に切られ,車は橋の横から50mほどある崖の下へと転落していった。
「もしもぉ~し,堀田さぁ~ん。どうしたぁ~聞こえるかぁ~。狸でも轢いたのかぁ~」
車は放物線を描くように崖の下に落ちて行ったが,途中で車が逆さになり堀田の身体はシートベルトで椅子に固定され宙吊りになったまま崖の底に叩きつけられて即死した。
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