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ベジタリアン・ヴァンパイア
某都立高校 一年A組。
窓際から二列目の、一番後ろの席で、高坂晴人は午後の気怠い授業に堪らず欠伸を漏らした。
四月も後半に差し掛かり、じきにGWに突入しようかというこの時期。今日は天気も快晴で、窓から差し込んでくる陽射しが丁度晴人の席をポカポカと照らしてくれるので、ついつい眠気を誘われる。
ようやく着慣れてきた制服に、見慣れ始めたクラスメイト。
───だがしかし。たった一人、同じクラスであるにも拘らず、まだ一度しかその姿を見ていない生徒が居る。
黒板の前で教師が指示する教科書のページを開きながら、頬杖をついた晴人は、チラリと視線を持ち上げた。入学式の日を最後に、もうずっと空席のままの机が目の前にある。
その机の主は、確か黒執レンといった。
入学式のたった一日しか見ていないのに、フルネームをしっかり覚えているのは、彼の印象が色んな意味で衝撃的だったからだ。
あの日、今は空っぽのこの席に座っていたのは、色白で華奢な少年だった。身長185cmの晴人より頭一つ分くらい小柄なその少年は、少し俯きがちにジッと席に座っていた。
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