1036人が本棚に入れています
本棚に追加
あの青白さは病気なのだろうかと少しでも案じた自分が腹立たしい。この暗闇でこんな生活をしていれば、不健康にもなるはずだ。
呆れと驚きと怒りとで最早放心状態の晴人だったが、どうやらヘッドホン装着でゲームに熱中しているレンは、こちらに全く気づいていないらしい。
隣で同じく呆れた様子で肩を竦めたアリシアが、ツカツカと室内に足を踏み入れ、背後からレンのヘッドホンを奪い取った。
「……っ! 何すんだよ、アラン!」
唐突に現実に引き戻されて椅子の上で軽く飛び上がったレンが、腹立たしげにアリシアを振り返った。
「その名前で呼ぶなって言ってるでしょ」
アリシアの手からヘッドホンを奪い返そうとするレンを揶揄うように、アリシアはその手の届かない位置までヘッドホンを持ち上げる。……どうやら彼の本名はアランというらしい。
「アンタ、またこんな物ばっかり飲んで。どうせ野菜と果物しか食べてないんでしょ。そんなんじゃ栄養にならないって、何度言えばわかるの」
「うるさい。関係ないだろ」
そう吐き捨てて、ヘッドホン奪還は諦めたのか、レンは再びモニターに向き直った。
よく見ると、そのモニターの前にはあり得ないほど大量の鉄分サプリが並んでいる。ここまで大量に飲んで大丈夫なのかと心配になるほどの量だ。
最初のコメントを投稿しよう!