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だとすると、やはり相当重度の貧血はあるのだろうか。……生活習慣にかなり問題がありそうな気はするが。
「……くっそ、折角いいとこだったのに、邪魔するから負けた!」
部屋の入り口に突っ立っている晴人には気づく気配のないレンが、苛立ち紛れにコントローラーを床へ投げつけた。まるで駄々っ子のようなレンの行為に、傍観していた晴人もさすがにカチンときた。
アリシアはレンのそんな反応も慣れっこといった様子だったが、それでもレンの身を気遣ってくれている相手にその態度はないだろうと思う。
それに何より、どんな手を使っているのか知らないが、こうして毎日引きこもってゲームをする為に、担任の谷川に欠席理由を上手く誤魔化させているのだとしたら、尚のこと腹が立った。
「いい加減にしろよ、黒執! 大体お前、学校休んでなに悠々とゲームしてるんだ!?」
思わず声を荒らげた晴人に、レンはそこでやっとその存在に気づいたようだ。眼鏡の奧の瞳を驚きに見開いて、こちらを凝視している。
「な……なに……何で……?」
まるでこっちが幽霊になったのかと思うほど、レンは晴人の姿に動揺して、金魚のように数回口を開閉させた後、キッとアリシアを振り返った。
「どういうことだよ!? なんで人間がここに居るわけ!? アラン、お前が連れてきたのか!?」
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