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ショック、というよりも、衝動的に掴みかかりたいような、荒々しい感情が腹の奧でグルグルと渦巻いている。
どうしてこんな気分になるのだろう。
これまで、付き合った相手に「思ってたような人じゃない」と突き放されたときにも、こんな感情は起こらなかった。ああ、やっぱりな…と、むしろあっさり受け入れられたくらいだ。
なのに、今日初めて言葉を交わしたレンに突っぱねられたくらいで、どうしてこうも胸がモヤモヤするのだろう。自分はそもそも、ここへ来てレンにどんな対応を求めていたんだろうか。
グ…、と無意識に拳を握り締めていた晴人の傍へやってきたアリシアが、宥めるようにそっと肩へ手を置いてきた。
「レン、いつまでもそんなワガママ言って、兄さんや義姉さんを困らせないで。学校だって、アンタにあまりにも社交性がなさすぎるのを心配して、兄さん達が手配してくれたんだから。それに折角お友達の方から来てくれたのよ? 好き嫌いを克服するチャンスかも知れないじゃない」
「好き嫌い……?」
前半はともかく、後半はアリシアの言う意味がわからず、晴人は首を傾げる。
自分が訪ねて来たこととレンの偏食に、何の関係があるのだろう?
「……有り得ない。絶対飲まない」
(飲まない……?)
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