ベジタリアン・ヴァンパイア

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「こんなサプリなんかじゃ、ワタシたち吸血鬼には全然足りないのよ」 「でもこれだけ飲んでれば……って、え…───?」 (……今、何て言った……?)  アリシアの言葉を脳内で何度も反芻して、晴人は目の前の二人を交互に見遣る。  ……キュウケツキ?  あまりに現実離れしたその単語が、咄嗟に脳内で漢字変換出来なかった。  キュウケツキというのは、もしかして映画や本やゲームで散々見てきた、あの『吸血鬼』のことだろうか。 「ちょ……ちょっと待ってくれ……」  心臓を食べる食べないで攻防を繰り広げている二人から思わず一歩後退り、晴人は額を押さえた。  二人の様子からしても、冗談を言っているようには思えなかったが、かと言って「そうですか」とすんなり納得出来るわけがない。 「……つまり、アリシアも黒執も、どっちも吸血鬼……ってことなのか?」  吸血鬼、という存在が現実に、しかも目の前に居ることがまだ信じられない。信じられるはずがない。  狼狽する晴人に止めを刺すように、アリシアは「そうよ」と呆気なく肯定する。 「吸血鬼って、人の血を吸ってその相手も吸血鬼にするっていう───」 「待って」     
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