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あくまでも空想上の吸血鬼という存在を思い出して言いかけた晴人の言葉を、アリシアが少し強い口調で制した。そしてどこかげんなりした様子で、溜息を吐いて腕を組む。
「人間は吸血鬼って聞くとすぐにそれ。吸血行為はワタシたちにとってはただの食事よ? 食事の度に相手が吸血鬼になってたんじゃ、ワタシたちの血統なんてあったモンじゃないわ。それから日光に当たると灰になる、なんて思ってるのかも知れないけど、それも何百年前の話?って感じ。人間だって進化するように、ワタシたち吸血鬼も進化はしてる。確かにどちらかと言えば夜の方が好きだけど、日光に当たっても灰になったりはしないし、ニンニクや十字架だって、決して好きではないっていうだけ」
そういえば、入学式は当然日中に行われていたが、レンは別に日光を避けたりしている様子は見られなかった。だったら余計に、二人が吸血鬼だと言われても信じられない。
「……二人とも、人間の血を吸って生きてるのか?」
「吸血鬼は基本的に皆人間の血を好んで食してるわね。……目の前の誰かさんは違うけど」
どういうことかと視線を向けた先で、レンが煩わしそうに顔を背ける。
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