1036人が本棚に入れています
本棚に追加
「……よくわからない。だって、もう出会ってるのに、出会ってなかったらどうだったかなんてわからないだろ。ただ……お前に出会ったから、『寂しい』っていう感情がわかるようになった気はする。ずっと独りで居ると、寂しいのかどうかもわからないから」
「黒執……」
またしても思いきり抱き締めたい衝動を堪える晴人の気持ちを他所に、レンは軍手を外し、「土ついてる」と晴人の制服の肩口を払う。そんな無自覚すぎるレンの姿に「あー、くそ!」と自棄気味に叫んだ晴人は、細い手首を捕らえると、そのまま噛み付くようにレンの唇へ口付けた。
驚いて逃れようと僅かに身を捩るレンの身体を抱き込むことで抑え込み、そのまま強引に舌で唇を抉じ開ける。
「ん……ッ」
不慣れなキスに、ギュッと目を閉じて晴人に縋りつくレンの口内を散々貪って、漸くその唇を解放すると、力が抜けたようにくったりと晴人の肩へ凭れ掛かって浅い息を繰り返すレンが、「この馬鹿……!」と毒づいた。
最早晴人の制服もあちこち土まみれになっていたが、もういっそこのまま押し倒して喰らい付きたい衝動に襲われる。頬から耳朶へ唇を滑らせる晴人からその欲求を読み取ったのか、ハッと身を起こしたレンに「ストップ!」と容赦なく突き飛ばされ、晴人は見事に土の上に転がる羽目になった。
「……お前……さっき、服汚れるとか何とか言わなかったか?」
転がったまま恨めしく見上げる晴人に、レンは一瞬グッと言葉に詰まった後、
最初のコメントを投稿しよう!