番外編 SWEET COLORS

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 晴人が最中に刻んだいくつもの鬱血痕が散った背中を撫でながら、「悪かったって」と眉を下げる。そんな晴人を、横たわったままのレンがジロリと恨みがましい目で睨みつけてくる。 「お前……あれだけ『ゆっくり』って言ったのに……!」 「これでもかなり抑えたんだぞ」 「あれで……!? ……次やったらホントに死ぬ。もうしない」  拗ねた口調で言い捨てて、ボフッとレンが枕に顔を埋めた。  確かにレンの訴えを聞き入れる余裕があったのは前半までで、晴人の下でぐずぐずになったレンに煽られ、結局最後には晴人は我を忘れて夢中でレンの中を掻き回してしまった。好きな相手に、蕩けきった顔と声で何度も名前を呼ばれて抱きつかれたら、理性なんて保てるわけないだろうと思うのだが、それを言うと本当に半永久的な『お預け』を喰らってしまいそうなので、黙っておくことにする。 「俺が悪かったから、機嫌直せよ」  レンの裸の背に覆い被さるようにして、晴人は行為の余韻からかいつもよりまだ少し紅い耳朶へ唇を押し当てる。ピク、とレンの肩が小さく震えたものの、強情な吸血鬼はまだ顔を上げてくれない。  仕方ない、と息を吐いて、晴人は究極の選択を突きつけた。 「ならこの暑い中、健康的に外に出掛けるのと、涼しい部屋の中で俺とするの、どっちがいい?」  晴人の問い掛けに、思惑通り顔を上げたレンが、首を捻ってじと…と晴人を睨む。     
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