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「そんな選択、卑怯───」
不満を零すレンの唇へ、首を伸ばして素早く口付け、再度「どっちがいい?」と問い掛ける。そこで漸く晴人に乗せられたことがわかったらしいレンが、悔しげに眉を寄せて唇を尖らせた。
「……血、くれたら考える」
「黒執、頑張ってくれたから、今日はたっぷりやるよ」
そう言って笑った晴人の下で、やっと身体ごと向き直ったレンが、困ったような顔で晴人を見上げる。
「……お前のそういうとこ……嫌いだ」
嫌い、という言葉に反して、レンが晴人の項へ腕を絡めて抱きついてくる。晴人を求める温もりに、相変わらず素直じゃないな、と胸の中で呟いて、晴人は首筋へ顔を埋めてくるレンの後頭部をそっと抱き返した。
二人の関係が、漸く色づいた瞬間だった。
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