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晴人の答えに、大和が今度はニンマリといやらしい笑みを浮かべた。
「……さては、何かエロいこと考えてたな?」
「お前と一緒にするな、アホ」
立ち上がり様、ペンケースでポカリと大和の頭を叩いてから、それをバッグに押し込んでファスナーを閉める。
「どーだかなー。お前の二つ前の席の加藤さん、すげー可愛いし~? 前の席空いてるお陰で、お前授業中眺めたい放題だし~?」
大和の言う可愛い加藤さんになど目もくれず、ひたすら目の前の空席を眺めてその主のことを考えていたとはさすがに言えず、晴人は呆れた溜息だけを返すに留めた。
そんな晴人の反応に「つまんねーの」と口を尖らせる大和と並んで、教室を出て部室を目指し歩き出す。
「お前ってホント、中学の頃からそーゆーとこ冷めてるよな」
「……どういうとこだよ?」
「腹立つけど、お前中学の頃から結構モテてたじゃん。お前と仲良いからって、手紙渡してくれって頼まれたことも何回かあったし。でも結局付き合ってもひと月もたなかったりさー」
マジ男の敵だわ、と大和がジロリと横目に睨んでくる。
小学生の頃からサッカーをしている晴人は、運動神経にはそこそこ自信がある。
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