#4 悪夢の理由は

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先生がいつもの優しい笑顔に戻った後、夜の診察で、と言って個室を後にした。 共同部屋でないのは先生のご厚意だ。 ありがたく甘えることにする。 それにしても2週間か。 かなり長い入院生活だ。 入院は小さい頃に足を怪我して以来。 どんな風に過ごしていたかも思い出せない。 とりあえず僕は大人しく敷かれていた暖かい布団にくるまって、眠りにつこうと目を閉じていた。 親や会社に迷惑がかかってしまうな。 モモは同僚の鈴木に任せよう。 モモも可哀想だな。申し訳ない。 入院になるとは思ってもいなかった。 これで上司に怒られて減給されても全部俺のせいなのかな。 なんだか急に辛くなって考えることを止めたくなった。 ビーズが詰められた枕に顔面を押し付け思わず出てきそうになった涙を引っ込ませる。 あ、これ寝るかもしれないと思ったときにはもう遅くて。 あれもこれもやらなきゃと仕事のやり残しを思い出すが、それと同時に今は寝ろと言われていることを思い出した。 あぁ、また来てくれるんだ。 聞き覚えのある声に少し違和感を覚えながら意識を遠くに飛ばした。
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