#4 悪夢の理由は

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「…まぁ、無理だろうね。いきなり頭が可笑しいだなんて言われても、今まで常識人ぶっていた君には理解することも難しいだろう。君は頑張ったよ。毎日毎日。嫌な素振りを見せながら、それでも文句一つ言わずにね。その姿勢は人間として大変素晴らしいと思う。でも、僕の目には気が狂った君しか見えない。」 「…」  「今なら分かると思う。聞きたいことがあるんだ。ねぇ。」 君の本当の願いは何なんだい? 頭を抱えた。 割れるように痛い。 なんだ、何なんだこの言葉の羅列は。 ただの侮辱とは言い難い。 僕を苦しめるために生まれた言葉は意図的に首を絞め、酸素を閉じる。 危機感だ。命への危機感。 肩を上げ下げしながら息をして、必死になって生にしがみつく。 嫌だ。 怖い。 死んでしまう。 何がしたいだなんて考えたこともなかった。 僕には欲望を叶える権利なんか無いから。 無いと思っていたから。 なのになぜ、この人は。 俺の幸せを願うような。 そんな物言いをするんだろう。 赤の他人であるはずなのに。 どうして。 「…」 僕の、本当の願い。 今僕が叶えたいこと。 上司に怒られるでもなく、彼女に会いたいでもない。 そんな願い事。 叶うわけ無いと思っていた。 そんな事できないと何処かで決めつけていた。 願っちゃいけないとも思っていたのに。 でも、もしも叶うなら。 我儘だと思われるかもしれないけど。
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