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「………辞めたい。」
仕事も、何もかも。
「それでいいんだ。江ノ原さん。それが、君の本性なのさ。」
おはよう。
やっと目を覚ましてくれたね。
フードの下で笑っている顔が、口角を穏やかに上げた。
これが正解だったみたいだ。
「…また今度が、来たよ。」
「え?」
独り言のような訳のわからない言葉に一瞬戸惑っていると、彼はあれだけひた隠しにしていたフードの端を手に取り、少し乱暴に払ってみせた。
彼の素顔が、丸見えになる。
「!?…お、お前、」
「そういう事だ。直樹。」
俺はお前なのさ。
いつも見ることができなかったフードの下にあった顔は寸分違わず全く同じで、まさしくもう一人の俺と言うべきか。
そっくりさんとは言い難いくらい似た俺が笑っていたのだ。
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