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もう1人の男性に聞き、思い出したのか溜め息を吐きながら話す男性。
琢磨は彼の言葉にカチンと来たが抑えた。
「宮原君。正気かい?」
「正気です」
「何故そこなんだい?」
「一緒に野球したい先輩がいるんです」
「はぁ?・・・・」
深い溜め息をつく男性は下を俯く。
明らかに苛立ちを見せている雰囲気を漂わせている。
「よく考えた方が良いよ?静岡聖陵なんぞという弱小校で日の目も出せずに終わる選手では無いはずだよ?それに我々はわざわざ県内の選手である君に声を掛けて来てやってるんだ。それを見たことも聞いたことも無い弱小校の名前を・・・君は」
「お引き取り下さい」
「え?」
「もう十分です。あなた方みたいな考えを持つ高校で野球をするつもりは毛頭ありませんので」
「あ、いや。それはだな・・」
「覚悟しといて下さい。来年の夏を。」
琢磨の見せた目はただ真っ直ぐと見つめていた。
自分たち以外の者を見下した態度に話し方に彼は大きな怒りを覚えていた。
スーツ姿の男性は何か言おうとしたが、琢磨の見せる眼光に圧されたか何も言わずに家から出て行ってしまった。
「バカにするなよ・・・絶対に思い知らせてやる」
帰って行く男性らを見ながら小さく呟く琢磨。
彼の意思は固く、何事にも流されることは無かった。
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