第参章 2度目の夏

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「あはは。そんな偉くはないよ?なんだかんだ言っても甲子園では初戦負けだからね」  山梨の皮肉にも似た言葉に土屋は笑いながら言い返す。  俊哉も土屋の方から来るとは思わなかったのか、少し緊張している。 「俊哉君。今年も戦える事を願ってるよ?」 「当たっても決勝だよね?」 「確かに。でも残って来ると思うけどね?」 「あ、あはは、、、」  その自信はどこから来るのだろうかと考えながら苦笑いする俊哉。  だが土屋から醸し出される空気は明らかに違っていた。  おそらく県内では明倭が優勝候補筆頭だろう。  次点では藤枝桐旺が入り、次に名前が挙げられているのは山梨のいる沼津南だ。 「おいおい、それは準決勝で俺らを倒すってことか?」 「いや、それはやって見なきゃ分からない事だよ?でも、何か感じるんだよねぇ。」 「えぇ、買いかぶりすぎでは?」 「買いかぶってるつもりは無いよ?特に今年の一年には宮原琢磨がいる。それに平林に上原、橘に橋本。そして君の弟君もね。決して楽観できないレベルの戦力の増強に、おそらく俊哉君たちも冬からここまで鍛えてきてるだろうからね。油断したら寝首を?かれるのはこっちだ。」  そうはっきり言われると、俊哉でも恥ずかしく感じてしまう。     
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