第参章 2度目の夏

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 ベンチに座りながらヘルメットをかぶる俊哉が記録員の菫に相手投手のデータを聞くも、良いデータは出てこなかった。  となると一番打者の琢磨次第ということになる。 「琢磨頼んだぞ!」  ベンチから声を出す俊哉に、琢磨は何も言わずグッと親指を立てる。  琢磨は相手投手の投球練習をジッと見る。 (同じ一年生投手だけど、見たことないから対戦経験がないか他県か。でもこの高校は他県から選手呼ばないし他県の線は無い。となると、、、) 「そう大した事無いって事かな、、、」  最後にそう呟き立ち上がる琢磨。  投球練習が終わり琢磨が左打席へと入る。 「プレイ!」  主審から試合開始の合図が出るとサイレンが鳴り始めた。  いよいよ試合開始だ。 (ウヘェ、アイツ宮原かよ、、、。なんでこんな三下(さんした)高校にいるんだよ)  琢磨は知らなくても向こうの投手は知っている。  だが相手投手は“この琢磨さえ抑えれば余裕”という意識でいた為、楽観的である。 (でも残念だったな宮原、お前さえ抑えれば余裕なんだよ。だから一年で先発したんだからな!)  上からである。  その投手の一球目はアウトコースへとストレートを投じストライクを取られる。 (どうだ!) (速く無い、、、てか、なんでドヤ顔なの?)     
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