流れのケンちゃん

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甘味処梅が枝店内。祭りの期間中らしく晴れやかそうな客たちの話し声、茶碗のふれ合う音など。 ミツ「ケンさん、いまさらやけどごめんなさいね、姉ちゃんが病気隠しとって。おっかさんが長崎で被爆して、たぶんそのせいだろうけど、姉ちゃんも白血病やった」 ケン「何をあやまってんの、ミッちゃん(軽笑)。あやまりたいのはこっちだ よ。短い御縁だったけどハナさんに何もしてあげれなかった。男失格だ(軽笑)。その点こちらの徹さんは見るからにしっかりしてる、頼りがいがある。九州男児だ。うん!」 杉浦「いやあ、そげんこつ云われても(苦笑)まことはしゃばかもん(いくじ なし)ですたい。ケンさんこそ覇気があって驚かされました。おとなしい人って、ミツから聞かされよりましたけん」 ミツ「本当に。うちも驚いた!あの頃とまるで別人(軽笑)」 ケン「そうかな(軽笑)。まあ、つとめて積極的にしてます。ハナさんに御指 導いただいたから」 ミツ「歌やないけど姉ちゃん火の国の女みたいやったから、ケンさん、驚いた でしょ」 ケン「いや、ぼくにはずっとやさしかった。本人が極道…いや、その、火の国 の女…気性が激しいと云うまでまったく気づかなかった。なんでぼくみたいないくじなしを見初めてくれたのか…ありがたいことです」 杉浦「そうですか。しかしそのように火と水だったにもかかわらず、お二人と も反社会的ということで、どこか気がおうたとですか。ランボー信奉者と聞きましたが、それはイコール反社会の代名詞、もしくは世の中からのあいかわらずの逃避とも見れますよね」 ミツ「(たしなめるように)徹。反社会じゃなかよ。ケンさん、自閉症ごたー あるって姉ちゃんば云いよったけん。ランボーはその反動ばい…うちも一時自閉症ごたーなったけん、姉ちゃんの大急がしやったね(苦笑)」 杉浦「黙っときない、女子は。ここは男の話ったい。おいはケンさんに聞いと るんよ…どげんですか、ケンさん。女子のハナさんに救うてもらったはよかばってん、その後ケンさんの男ば立ちよったとですか」
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